これにも訳がついてスノーレパードとなっているが
原題はご覧の通り、
”高く孤独な場所”
登山を志すものについてはネパールはいわば聖地であり、
とかく孤高と言うフレーズにも弱い。
もちろんヒマラヤの頂に立てるものはごく僅かでしかなく
あの
トシボンヌさえ三角点には寄せ付けてもらえない、
そんな限られた場所が舞台の
しかしこれは紀行文ではなく、動物研究家の主人公を通した
冒険小説、であり、政治サスペンス
その中にヒマラヤ、ネパールがいかに過酷な峻烈な地所であるかが
連続地雷のように幾度も粘っこく盛り込まれている。
元のきっかけといえばやはりこちらも星野道夫の愛読書として
広く知られていた事。
星野道夫自体も沢山の名文、メッセージを残しているが
前述の
表現者の中に
一つの結びとして
”人は誰もみな長い旅の途上なのだから”というくだりがある。
実はこの言葉とほとんどまったく同じフレーズがこの、雪豹の中でも語られる。
シーンは、欧米からの白人研究家に対し、地元民の青年が
サラリと言い流すところ。
しかし山岳民族が説くこの言葉には何ページ分もの解説よりも
数段重く響く力があった。これは実際著者がリサーチ中に出会った言葉ではなかろうか。
若しくは広くラマやチベット仏教では想われている観念か。
一般には山を舞台にした小説は退屈で、体験のないものには伝わるものが甚だ少ない。
しかし、何十年も前に書かれた雪豹は、今この現代社会で平べったく生きている人間にも
十分魅力のある小説であると思う。
問題は、ちょっと長いな。